巷で最近よくファクタリングという言葉を耳にするようになりました。逆に受取手形、支払手形という言葉をあまり耳にしないようになった気がします。実は世の中の動きに合わせファクタリングのシステムが浸透したことにより紙で発行、流通していた債務の支払手段としての支払手形、債権の取立手段としての受取手形というスキームが急速に変更されているからなのです。ファクタリング会社は支払手段として支払手形を発行する代わりとして債権を買取し債務の支払を保証する形になります。
支払手形であれば期日前に資金を現金化したい場合は銀行に持込し手形を割引するというスキームで現金化していました。支払う金利が発生するほか、手形法上では手形債権を売買していると解釈され、万が一割引した手形が期日に不渡りとなった場合は手形の買戻し手続きを行うという特殊な事務に移行していくことになります。手形に中間裏書人が存在していれば不渡時は中間裏書人に遡及するという悩ましいことも出てきます。ファクタリングでも同じように期日前に現金化することがあります。
期日までの金利を支払って現金化するというスキームは手形割引と同じですが、手形の売買という概念には該当しませんのでファクタリングが不渡りになり、買戻をしなければならないという事務には移行していきません。その意味では利用価値に優れており今後この方式に加速度的に移行していくものと考えられます。手形はあくまでアナログ的な物質で管理していましたが、インターネット環境を整備し、債権回収をサイバースペース上で行うという時代に変わってきたのです。